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くさねっこカレッジ「手しごとを知る・楽しむ」開催!!

台風の心配を吹き飛ばすかのような良い天気に恵まれた9月6日(日)、草津川跡地公園de愛ひろば(区間5)にて、くさねっこカレッジが開催されました。2回目のこの日は、講師に米田恭子さんをお呼びし、手しごとに関するレクチャーとワークを実施しました。

前半は、米田さんがオーナーをつとめる「而今禾」のことや手しごとについて学び、後半は米田さんがつくられたお茶と草津川跡地公園のハーブを楽しみました。

コンテンツ

  1. 講師紹介
  2. 手しごとを学ぶ
  3. 米田さんのお茶と公園のハーブを味わう
  4. 次回予告

くさねっこカレッジ」は、草津川跡地公園が完成する前、草津川跡地公園で活動する主体育成を目指して2014年に開催された市民講座です。そのときから参加しているメンバーが今もくさねっこを支えています。

今回、草津川跡地公園で新しい学びや出会いを広げるため、完成した公園で新たなくさねっこカレッジを開催することになりました。

これから、草津川跡地公園で新しい学びやつながりを増やしていきましょう!

1 講師紹介

米田恭子さん/天然素材工房「而今禾」オーナー
三重県生まれ。大学で陶芸を学んだ後、陶芸家として独立。1993年からギャラリーなどで、工芸作家の展示会を企画。1998年に亀山市関宿にて而今禾(Jikonka)をオープン。衣食住から学ぶことをテーマに暮らしの道具を提案。2010年にはJikonkaTOKYOオープン、三重オーガニックマーケットを立ち上げる。ものを販売するだけでなく、教室を開催し生産者さんとの交流の場を設け、体感できることを楽しむ企画を行う。2013年に台湾台北市にて日本の工芸を紹介すべく展示会を企画。Jamei Chenと事業を始める。現在は地域の素材からものを生み出すことに興味を持ち、お茶、藍の仕事などをベースに経済を勉強中。

2 手しごとを学ぶ

関のまちと而今禾

三重県亀山市関町。
東海道五十三次の宿場・関宿があるまちに、「而今禾(Jikonka)」があります。

「先人からなにを受け継ぎ、そして次の世代に何をつなげるか」

これは米田さんが、仕事をするときに掲げているテーマです。
はじめて東海道に立ったときに、脈々とつながる歴史の一地点に自分がいると感じ、そして次に何をつなげていくのかという責任を意識されたそうです。

而今禾は、東京、台北(今は休業中)にも店舗があります。

関店の空間は障子やふすまのある「和」の空間ですが、東京店は「洋」の空間になっています。東京店はかなり昔の建物で、床は中世フランスのお城のレンガが使われています。「洋」の空間になるだけで、関店と同じく器やアンティークがかなり違って見えるそうです。

台湾にある台北店は、日本と台湾の文化をミックスさせることで生まれてくるものがあるのではと、実験的にOPENされたお店です。
藍染の服や草木染めの服を展示・販売したり、台湾のお茶と日本のお茶を味わう「お茶会」などを企画されているそうです。

手しごとと道具

手しごとは「モノをつくる」ことだけではないと米田さんは語ります。
洋服を手づくりするなど、高い技術が求められることも手しごとですが、丁寧につくるお料理や、丁寧にお茶を淹れることも立派な手しごとになります。
お茶を淹れてあげるだけで、「ありがとう」「おいしかった」というような、コミュニケーションが生まれていきます。

暮らしの中で常に意識していることは、「美しいか美しくないか」。
例えば、これを買うのは美しいことなのかと常に問いかけて選択すること。
豪華なものや華やかなものに「美しい」と感じる人もいますが、米田さんの「美しい」の基準は、「自然の循環と共にあるかどうか」「土に還るかどうか」。自然の循環の中に自分がいて、無理のない循環の中にいるのかを心の中にとめながら暮らしているそうです。

米田さん持参の茶器。左手前にあるのが「銅のやかん」

中国の古い鉄のやかんを使いやすくアレンジした、而今禾オリジナルの銅のやかん。これは、三重県の職人にお願いしてつくっていただいたものだそうです。
米田さんはいつも、炭で火をおこしてお湯を沸かして、お茶を入れられています。炭で沸かすと、とろっとしたお湯になってお茶がおいしくなるそうです。道具ひとつで受ける印象も変わると米田さんはいいます。

自問自答しながら生きていると、その答えは時を重ねて使われてきた道具が、静かに教えてくれる感覚があるそうです。どう生きていくべきかと迷ったときは先人たちがどうされてきたのか、書籍などを読んで学ばれているそうです。

お茶のこと、藍染のこと

米田さんは今、F4という樹種(日本茶)をつかった発酵茶をつくられています。

亀山市は昔紅茶を輸出していた時代があり、F4はそのときに植えられた樹種だと言われています。しかし、何十年と耕作放棄されてきたそうです。
そんな耕作放棄され、かなり大きくなった木を見つけて一目惚れし、その木の葉で実験的に紅茶をつくられました。とてもいい香りの紅茶ができ、本格的にお茶をつくられるようになったそうです。

発酵茶は、1杯ぶんの茶葉で何度もおいしいお茶が出ます。淹れ方も簡単で、温度調整が難しい緑茶や煎茶と違い、熱湯に入れるだけ。
淹れ方が簡単なので、若い人にもお茶を楽しんでいただけるのではないでしょうか。

而今禾で販売されている番茶

藍染めには様々な染め方がありますが、昔ながらの染め方を継承した藍染はほとんど受け継がれていないそうです。
米田さんが実践されている「正藍染め」は、藍の草からつくった「すくも」と、「灰汁(あく:木灰を水につけてとる上澄み液)」の二つだけを発酵させた染液で染めます。

藍染のマスク

きれいな正藍染めをつくるためには、いい木灰をつくり、いい灰汁をとることが必要です。
米田さんは、いい灰汁をとるために、以下の手順を踏まれています。

  • 広葉樹の薪からできた木灰を使う
  • その灰を畑で焼く
  • 焼いた灰をふるいにかける
  • 熱湯を加えて、灰汁をとる

この工程を経てつくられた灰汁は、無色透明できれいだそうです。

「いいもの」をつくるためには、いい素材を使うこと。
そして、1つ1つの手順を丁寧に踏んで、つくりあげていくこと。
米田さんがつくられているお茶や藍染めには、歴史のなかで受け継がれてきたものを丁寧に紡いでいく心と、素材へのこだわりが感じられました。

而今禾の商品の出張販売!このような屋台の使い方もできます。

3 米田さんのお茶と公園のハーブを味わう

レクチャー終了後は、お話にもあった米田さんお手製の「お茶」と、草津川跡地公園でとれた「ハーブ」を使ってお茶を楽しみました。

米田さんこだわりの茶器を使ってのお茶会。ぜいたくな時間。

而今禾でも販売している「伊勢水香白茶」を味わいました。

白茶は抗酸化作用やデトックスの効果があるといわれており、中国台湾では「健康のお茶」「美人のお茶」などと言われています。
伊勢水香白茶は、一芯二葉になっている新芽をすべて削りとったものを茶葉として使います。普通につくると、ただの枯葉になり香りも味もなくなるのですが、湿度の高い高温の状態で水分を抜いていく「萎凋(いちょう)」という作業をすると、香りが高いお茶になります。

お茶の枝の先端「芯」とその下についている2つの葉っぱ(一芯二葉)を摘み取って、枯葉にならないよう気をつけながらお茶にします
お茶は味わって楽しむだけではなく、目や香りで「愛でて」楽しむこともできます
参加者にもお茶淹れを楽しんでもらいました

お茶を淹れ、五感で感じ、味わう。
その時間が「贅沢」であり、「豊か」なひとときでした。


「伊勢水香白茶」など、米田さんのお茶をひととおり楽しんだ後は、草津川跡地公園にある「レモングラス」と、米田さんのお茶との組み合わせを楽しみました。
「爽やかさが増して、また違った味わいが楽しめた」といった声があがりました。

その場の素材をいかして、自分の活動につなげてみる。 米田さんが展開してこられた「而今禾」の取り組みには、活動の幅を広げるヒントがたくさん散りばめられていました。

4 次回予告

次回10月4日(日)のくさねっこカレッジは「情報をおしゃれに発信する」です。
講師に坂本大祐さんをお呼びし、地域からセンスよく情報を発信するためのテクニックを学びます。

お申し込みは下記のアドレスに①氏名 ②所属(会社・学校等)③年齢 ④住所 ⑤連絡先(電話・FAX・e-mail)⑥草津川跡地公園でやりたい活動をご連絡ください。
※記入の際、【10月4日(日)くさねっこカレッジ「情報をおしゃれに発信」参加】がわかるようにしてください。
お問い合わせフォームからも受け付けております。

お問い合わせ・お申し込み:kusanekko@studio-l.org

くさねっこカレッジの詳細はFacebookでも発信中!
https://www.facebook.com/1213022662046172/posts/3755063504508729/?d=n